株式会社中央軒

中央軒は明治25年鳥栖駅の駅売り弁当専門として創業。今回、インタビューを受けていただいた児玉社長は、大学生で勤めたアルバイト時代と卒業後の社員時代を経て、中央軒を盛り立てる若手社長だ。中央軒が永年守り続け進化させてきた「かしわめし」や「しゃおまい」の歴史と話題作りについて想いを語っていただいた。

鳥栖駅前で昭和31年から商品化されている中央軒の焼麦は、長崎在住の中国人に教えを乞い、広東風のあっさりとした味を基本に、肉厚感に仕上げていることが特徴だ。
時代に合わせて味付けやサイズ感も少しずつ変化させており、現在は、お酒にも合う濃ゆめの味付けとなっている。味の決め手は素材、豚肉、玉ねぎ、しいたけ、にんにく、卵など材料にこだわり、国産豚肉を使用している点にある。焼麦専用の酢醤油は特注ブレンドしたものであり、焼麦との相性は抜群だ。

鳥栖の地には、昔からお祝事や来客の際には、鶏をつぶしてご飯を炊き、お客様をもてなす習慣があった。この郷土料理を中央軒は「かしわめし」として商品化し、日本で初めて「駅弁当」として大正2年に販売を開始した。「かしわめし」は味付けご飯の上に、細かく切って甘辛く煮たかしわ肉、錦糸卵、刻み海苔をのせた伝統のお弁当で鳥栖市民から永く愛されている。
そんな「かしわめし」は、JR九州主催の「第14回九州駅弁グランプリ」で特別審査員賞を受賞した。当グランプリは人気投票と特別審査員による審査を行うもので、中央軒の「かしわめし」はエントリーした45点の中から、グランプリ、準グランプリに次ぐ、特別審査員賞に見事選ばれたのだ。

また、同社は昭和31年に、九州で初めて”立ち食いうどん”の営業を開始。お客様に一番人気なのは「かしわうどん」であり、煮干し・昆布・二種類の醤油・酒・味醂でつくった薄味のスープと、トッピングされる甘辛く炊いた鶏肉の風味が人気だ。そんな「かしわうどん」は鳥栖駅構内に、4店舗あり、この4つの店の味は同じはずだが、いつの頃からか、鹿児島本線下りが発着する「5番・6番ホームのうどんが一番うまい！」と好評なのだ。 わざわざ入場券を買ってうどんを食べにきていただくお客様もおり、 このようなお客様のおかげで今も人気店として駅構内で営業している。

児玉社長が社長に就任した時は、コロナ禍で多くのイベントや行事が開催されずに、同社の売上も激減していた時代。「自分に何が出来るかと考えて、たどり着いたのがSNSを活用した情報発信でした」とコロナ禍時代を児玉社長は振返る。児玉社長の魅力は「既存商品への新たな発想」と「ワクワクする要素」を組み込むことにある。
SNS発信で広く情報発信されてヒット商品になった例として、「かしわめし」の材料で作った誕生日ケーキがある(笑)。生クリームが食べられずに、誕生日ケーキが食べられなかった子供さんへ「誕生日かしわめしケーキ」にロウソクを立てて誕生日を祝えるヒット商品だ。また、恵方巻のシーズンにかしわめしの同材料で恵方巻に模したかしわめし巻を開発して、SNSで発信したところ、想定を遥かに超える400本/3日の売上を記録している(笑)。この2つの商品はレギュラー商品として成長して、会社売店で購入できる。
児玉社長の発想・発信力・キャラクターが話題となり、老舗企業の中央軒へ新たな風と新たな顧客層を呼び込んでいることは事実だ。児玉社長がつぶやくX（旧Twitter）での言葉選びや話題作りのファンも非常に多いので、是非フォローして欲しい。"

秋のスポーツの祭典の出場や観戦で鳥栖を訪れる方も多くいると思うので、是非、「焼麦・かしわめし・かしわうどん」を食して欲しいと話す児玉社長。児玉社長の発信力とお客さんを惹きつける「つぶやき」から、今後も目が離せない。