焼肉 香梅

鳥栖市神辺町出身の岡本梅夫さん（74歳）。田代小学校、田代中学校、鳥栖高校とずっと鳥栖で育った。子ども時代は、野球ばかりしていたという。旅行が好きと語る岡本さんは、高校3年生の春休みに自転車で九州一周。高校卒業後は近畿大学に進学したが、2年で中退。「世界を見てみたい」とバイトに明け暮れ、1年足らずで約100万円を稼いだ。岡本さんが稼ぐために考えたのは、ダンプの仕事であった。そのお金でヨーロッパやアフリカ、インドなど世界18か国を100日間ほど旅をした。
その後は、東京に行ってみたくて、「お金は要らないから東京の大正大学に行かせてくれ」と親にお願いをした。その為、学費や生活費などは自分で稼がないといけなかった。「人間負の状態になった時に、どうするかが大事。そうなれば、考えて行動する。ただ苦学だけでは面白くない。お酒も飲みたいし、旅行もしたい。」生きるために必死だった。「大正大学に入った時、私は半分学生で半分社会人の状態だった」と語る。

大学卒業後は、久光製薬に入社。営業として7年勤務した。組織の一員として働くのが合わないと感じ退職。好きなうどんであれば続けられると思い、33歳の時に北茂安にうどん屋を開く。“うどん香梅”は、ピーク時は6店舗を経営していた。最終的には、鳥栖1店舗になり、朝6時から仕込まないといけないうどん屋をしていくには、体力が限界だと感じ70歳の時に38年営んだ“うどん香梅”を閉じた。
偶然知り合った人が、青果市場の会長と焼肉屋と旅館の経営。その彼から「焼肉屋をやってみたらどうか。人を雇わず小さな店でいいから」と勧められ、わずか3カ月後に焼肉屋をオープン。お酒を飲む方が多いので駅前、そして一人で出来る広さの店舗を探して鳥栖市京町に店を構えた。「久光製薬で営業をしていた経験は、お客さんの接客など今の商売に活かされている。」研修や仕事を通して様々な勉強をさせてもらったのに退職をして、申し訳なく思いながらも感謝しているという。

「うどん屋は作るだけでお客さんとの対話があまりなかった。焼肉屋では対面で色んな人が来てくれて、仲良くなって、お話ができて楽しい。月1ペースでお客さんとゴルフのコンペもしている。」お店の営業は22時までにしているが、お客さんがいなければ早く締め、閉店時間に関係なくお客さんが居るまでは開けているという。休みの日は旅行やゴルフをしたりと、休みも自分が休みたいときに休むので不定休。一度来てくれたお客さんには携帯の電話番号入りの名刺を渡している。「来店される時は、連絡してください。」とのことだ。

「当たり前であるが安くて美味しいお肉を提供する。」それが岡本さんのモットーだという。一人でも気軽に食べに行ける雰囲気で、女性が一人で来ることもあるそう。店内は岡本さんとお客さんの話し声で和気あいあいとしている。香梅セットがおすすめで牛・豚・鶏（カルビ・バラ・もも）すべてのお肉を楽しめる。さらにはビールが付いて1000円！という安さでお腹も満たされる、飲兵衛には最高のセットだ。こだわりは自家製のタレで“みそ”と“しょうゆ”の2種類ある。柚子胡椒もあるが手作りの為、香りがとても良くお肉との相性も抜群だ。また、野菜は自家栽培しており新鮮な野菜が食べられるのも魅力だ。
今後は、「ゴルフや旅行などを楽しみながら、体力が続く限り焼肉屋を続けていきたい。」と語った。